電化が進むクルージングヨット
長距離で移動する場合に必要な家電 順番は生活様式や人数でかわります。
公開中に必要なもの ①電子レンジ ②炊飯器 ③IH調理器 ④電気ケトル ⑤コーヒーメーカー ⑥冷蔵庫 ⑦洗濯機 ⑧乾燥機
停泊中に必要なもの ①電気香取 ②扇風機 ③エアコン ④テレビ ⑤掃除機
言い出すと限がないですね。
1967年シングルハンドで世界一周した「嵐と凪と太陽 : ジプシー・モス号三万マイルの記録」の著書、フランシス・チチェスターはビールサーバーを積んでいました。フランシス・チチェスターが気になる方はロレックスのWEBサイトを見てください。今から50年以上も前です。
40FT前後のヨットでは、エンジン回りのスタート用バッテリーと室内用の家電用バッテリーを積んでいます。発電機を付けている場合もあります。発電機の場合はディーゼル発電機になり、船のエンジンと同じ軽油を使います。
小型の発電機で日本製はガソリンで空冷が多いです。
ガソリンは引火しやすく航海中は使わない方が良いと思います。
常設の場合、小型のディーゼル発電機は船舶用を使う必要があります。
発電機は一定の回転数が必要なので燃料消費量が多くなります。
重量もあるので、船内の喫水線より下に設置になると思います。水冷パイプの配管などは専門的な知識が必要です。
船舶用エアコンも水冷で小型です。エアコンは圧縮機、送風機、水冷冷却のための海水ポンプと3つの部分に分かれ、それぞれに電気が必要です。全体的な消費電力が大きので航海中は使えません。長距離では燃料は1時間程度エンジンを回し発電用で計算します。1時間で2Lとすると60日で120Lとなります。
ヨットの中の配管も複雑で奥の銀色が暖房用配管、手前が冷房用配管
暖房用は分岐してロッカーに行っている。
家電以外でもGPSやAIS、オートパイロット、夜の航海灯などに必要です。使うならパソコンなどにも必要です。寒い場所なら暖房を使いますが、軽油を燃料として電気のFF式を使う場合もあります。自然吸気なら電気は不要ですが、煙突が必要です。
乾いた服や雨具を使いたいなら、FF式の暖房は必須です。温風の吹き出し口の一部をロッカーに回します。吊るした服を乾燥させ 雨の日が多い時でも乾いた服やカッパが着れ、体力の消耗を抑えられます。
FFヒータ用の小型電磁ポンプ、軽油を電磁ポンプで送り出す必要がある。
アマチュア無線機も付けます。アマチュア無線機はオールバンド受信機能の物があるので、短波ラジオを聞いたり、短波FAXで気象情報や、ニュースも受信できます。ただ、電気製品が多いのでノイズが発生している事もあるので出港前にノイズテストを行ってください。
電動ビルジポンプがあります。ヨットは必ずマストから水の進入があります。バウのアンカーチエーン格納庫から水の侵入もあります。スクリューシャフトはPSSと言うシステムで一切の浸水はありません。マストやバウからの浸水を検出して電動ポンプで自動排水しまし。電気不要で手動でも可能です。
温水シャワーもあります。シャワー用水タンクにエンジンの冷却用配管の一部を通すタイプと、エンジンの排気を使うタイプ(かなり大きい)があります。お風呂は無理ですが、温かいシャワーならこれで大丈夫です。
⇦写真の右側が、エンジンの冷却水を利用した温水器。
左側はトイレの排出装置
清水機を付けているヨットも!海水をポンプでくみ上げ高い圧力で逆浸透膜を通して真水にします。これも電気が必要です。メンテナンスも必要で、逆浸透膜に残ったカスを清掃する必要があり主に塩素で洗浄します。
冷蔵庫はエンジンに連動したコンプレッサーで強力に冷却して、冷却液の周りに強力な保冷剤を置き、冷凍庫の断熱を行う事で、エンジンを1時間回すと1日以上は冷凍できるヨット用の冷凍庫があります。太平洋の上でステーキや氷入りのウイスキーが飲めます。残念ながら日本製ではありません。
上の写真が冷蔵庫用圧縮機、エンジンで圧縮します。
左側の写真が熱交換機で海水で冷やします。
40FTを超える船や超距離航海ではメンテナンスで布を縫うことも多いのでミシンを積んでいる船もあります。
電源の確保ですが、最近のポータブルバッテリーをみるとそのまま搭載した方が安いのもあります。
ご飯、ケトル、コーヒーメーカーなら1500W以上あれば何とかなります。ただし1時間では充電できませんので、ソーラーパネルなどを付ける必要がありますが、そこまで考えられたポータブル電源があります。
ソーラーパネルがら、充電制御、デープサイクルバッテリー(リチウムバッテリー)、ACコンバーターと自作もできます。風力発電機もあります。航海中のメンテナンスはできませんので出港前に準備しましょう。
通常ならと言うと変ですが、オルタネーターはそもそもが「車用」で 走行中は風で冷やされています。(自分で冷やす羽もついています)船舶の場合は風で冷やすどころか、エンジンルームはかなり高温です。
その状態でリチウムイオンバッテリーを内蔵しているポータブル電源を充電すると最大電流が流れます。?意味わかりにくですよね
停泊中でエンジンが低回転中ならオルタネーターに付いている羽もおなじく低回転です。ゆっくり冷却している状態です。
そこにポータブル電源をつなぐと 最大電流で充電が始まります。 通常の「鉛蓄電池」なら発電量が少ないと電圧が下がり電流は減りますが、ポータブル電源は電圧を自動調整するので電流は下がりません。充電の最初が最大電流です。それで、オルタネーターが過熱して壊れる場合があります。
対策としては、温度センサーが付いているオルタネーターを選ぶ事です。ポータブル電源を充電しなくても船舶は温度センサーが付いているオルタネーターが必要です。